水辺で見られる野鳥たち

最終更新日:2012年6月1日

マガン・いろいろな水辺環境に恵まれている私たちのまち新潟。
・そこは、水生昆虫や水草などが、さまざまな環境に応じて生活しています。
・野鳥の世界でも、こうした微妙な環境の変化に合わせた、さまざまな暮らしぶりが見られます。
編集協力(敬称略)
千葉 晃
写真提供(敬称略)
本間隆平・木下 徹・高辻 洋・伊藤定市・白井康夫

ことばの説明

渡り …
鳥が季節によって移動すること。

留鳥 …
季節による移動はほとんどみられず、一年中日本で見られる鳥。

夏鳥 …
春から初夏に日本へ渡ってきて繁殖し、秋に再び暖かい南方に帰っていく鳥。

冬鳥 …
秋に日本へ渡ってきて越冬し、春に再び繁殖のため北方に帰っていく鳥。

旅鳥 …
日本以外の北方や南方で繁殖し、移動の途中日本に立ち寄ったり通過していく鳥。

漂鳥 …
季節によって日本国内を移動する鳥。

迷鳥 …
渡りの途中で方向を間違え、目的地以外の地域に来てしまった鳥。

夏羽 …
春から夏にかけて繁殖期にみられる羽。一般にあざやかで美しい。

冬羽 …
秋から早春までの非繁殖期にみられる羽。一般に地味な色をしている。

かざり羽 …
繁殖期に特別にみられる目立つ羽で、シラサギなどでよく知られている。

さえずり …
主として春から夏の繁殖期に聞かれる特徴のある鳴き声。

地鳴き …
さえずり以外の声で、普通に聞かれる声。

コロニー …
集団繁殖地のこと。林や岩場などに、同じ種類や近縁の鳥が群れて営巣すること。

コハクチョウ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

コハクチョウ

  • 全長120cm、翼開長177cm、冬鳥11月頃渡来。
  • 雌雄とも全身が白色(若鳥は全身が灰褐色)で、くちばしの先は黒く、つけ根は黄色い。コォー、コォーとやさしく鳴き、マコモなど水生植物の茎や根を餌とする。
  • 新潟市では鳥屋野潟、佐潟が代表的なすみ場所となっており、オオハクチョウよりずっと多い数が渡来する。

オオハクチョウ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

オオハクチョウ

  • 全長141cm、翼開長225cm、冬鳥11月頃渡来。
  • コハクチョウによく似ているが、大型で、くちばしの黄色の部分が大きい。横から見るとこの黄色いの部分はくちばしの半分以上にまで達していて、コハクチョウとの区別点になっている。生活や鳴き方はコハクチョウによく似ている。
  • 県内では瓢湖が代表的なすみ場所となっている。

ヒシクイ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

ヒシクイ

  • 全長83cm、翼開長160cm、冬鳥10月頃渡来。
  • ガチョウくらいの大きさで、マガンよりも一回り大きい。雌雄とも全身が黒褐色で、腹の方が少し白っぽい。黒いくちばしの先近くにオレンジ色の帯が入っているのが特徴。飛びながらグワワン、グワワンとマガンより太く低い声で鳴き、隊列を組む。水草の茎や根を餌とし、マコモやヒシの実を好んで食べ、湖沼、水田、川などにすむ。
  • 新潟に渡来するヒシクイは、大部分がオオヒシクイである。

マガモ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

マガモ

  • 全長53~61cm、翼開長85~99cm、冬鳥9月頃渡来、狩猟鳥。
  • アヒルくらいの大きさで、雄は青緑色の頭と黄色いくちばしが目立ち、胸は褐色で、くびに細い白帯が見られる。雌は全身褐色で、黒褐色の斑がある。狩猟鳥となっているため、昼間は安全な水面で群れ、夜間に水田や水辺で餌を取る。グエッ、グエッとかグァー、グァーと鳴き、草の種子のほか小魚やタニシなどを食べる。
  • アヒルはこのマガモを改良し作り出された家禽である。

カルガモ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

カルガモ

  • 全長53~63cm、翼開長83~99cm、留鳥、狩猟鳥。
  • アヒルくらいの大きさ、雌雄とも全身が褐色で、顔や胸の部分が狭く、眼の部分に黒い縞もようがある。くちばしは黒く、先端の黄色い部分が特徴。グエッ、グエッと鳴き、植物質や、タニシ、ザリガニを餌とし、湖沼、池、川や公園の池などにもすむ。
  • 一年中、国内各地でみられ、普通に繁殖する。

コガモ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

コガモ

  • 全長34~41cm、翼開長51~64cm、冬鳥9月頃渡来、狩猟鳥。
  • ハトくらいの大きさで、カモ類の中で最も小さい。雄の頭は茶色で、目のまわりには太い緑色の帯があり、体は灰色で尾の両側に三角の黄色斑が目立つ。雌は全身褐色で黒褐色の斑がある。ピリッ、ピリッと鳴き、植物質を餌とし、湖沼、池、川などにすむ。また、公園の池などにも飛来し、餌づけされているものもある。
  • 県内ではごく普通にみられ、越冬数も多い。

ヒドリガモ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

ヒドリガモ

  • 全長43~53cm、翼開長68~84cm、冬鳥9月頃渡来、狩猟鳥。
  • アヒルより小さく、雄は頭から胸にかけて赤褐色で額が黄色く、体は灰色で尾は黒くなっている。雌は全身褐色で腹は白い。雄はピュウィー、ピュウィーと透き通った声で鳴き、雌はグワー、グワーと低く濁った声で鳴く。
  • 湖沼、川、海上、内湾などにすみ、他の淡水ガモ類よりも海に出る傾向があり、アオノリなどの海草を好んで食べる。

オナガガモ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

オナガガモ

  • 全長53~75cm、翼開長73~94cm、冬鳥9月頃渡来、狩猟鳥。
  • アヒルより小さく、首と尾が長い。雄は頭から首にかけてはこげ茶色、胸と腹は白く、体は灰色で、尾は細長くとがっている。雌は全身褐色で黒褐色の斑がある。プリー、プリーと鳴き、植物質を餌とし、湖沼や大きな川、海上などにすむ。
  • 渡りの時期には大群で見られるが、コガモやマガモほど数は多くない。

ホシハジロ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

ホシハジロ

  • 全長43~48cm、翼開長71~80cm、冬鳥12月頃渡来、狩猟鳥。
  • ハトより大きく、雄は頭と首が赤褐色で、胸は黒く、体は灰色。雌は全身褐色で斑点はみられない。クル、クルと鳴くが、鳴き声を聞くことはほとんどない。水中にもぐり、水生植物のほかタニシや水生昆虫などを食べる。
  • 県内では瓢湖のほか、鳥屋野潟、佐潟に渡ってくる。

ミコアイサ

(ガンカモ目/ガンカモ科)

ミコアイサ

  • 全長39~44cm、翼開長61~70cm、冬鳥11月頃渡来。
  • アヒルよりずっと小さく、コガモ程度の大きさ。雄はほぼ全身がまっ白で、目のまわりはパンダのように黒く、頭の後ろや背中に黒いすじがある。雌は褐色で、ほほが白い。雄はフィーと口笛のような声で鳴き、雌はクワッ、クワッと鳴くといわれている。冬季はほとんど鳴き声を聞かない。水中によくもぐり、魚類を好んで食べる。
  • 湖沼や川などにすみ、鳥屋野潟では一時多くみられた。

カワウ

(ペリカン目/ウ科)

カワウ

  • 全長81cm、翼開長129cm、留鳥、狩猟鳥。
  • 雌雄とも全身黒色。よくみると背は茶褐色で光沢がある。先の曲がった長いくちばしと長い首を持ち、くちばしのつけ根は黄色い。グワッ、グワッとかグル、グルとうなるように鳴き、巧みに潜水しながら魚を捕る。湖沼、川、入江に生息し、木の上に集団で巣をつくる。
  • 近年、県内で越冬するものが増えている。

ダイサギ

(コウノトリ目/サギ科)

ダイサギ

  • 全長89cm、翼開長130cm、留鳥。
  • しらさぎの中で最も大きく、雌雄とも全身まっ白で、夏には背中にかざり羽がつく。くちばしの色は夏の間黒く、冬は黄色になる。ほかのサギ類に比べ脚が長いので、より深い場所でも餌が取れる。飛びながらグワーと大声で鳴くことがあり、魚のほかザリガニやカエルなどを食べる。
  • 川や湖沼で生活し、ほかのサギ類にまじって集団で繁殖する。

アオサギ

(コウノトリ目/サギ科)

アオサギ

  • 全長93cm、翼開長161cm、留鳥。
  • サギ類の中で最も大きく、雌雄とも背中は灰色で、腹の方は白く、夏には後頭部に黒いかざり羽が目立つ。クワーとかゴァーと鳴き、魚、ザリガニ、カエルなどを食べる。
  • 川や湖沼などで生活し、杉林や松林に集団で繁殖する。

オジロワシ

(ワシタカ目/ワシタカ科)

オジロワシ

  • 全長80~94cm、翼開長182~221cm、冬鳥11月頃渡来。
  • 全身ほぼ黒褐色の海ワシで、長くて幅の広い翼と、くさび形の白く短い尾を持つ。ほとんど鳴かないが、繁殖期にはカッ、カッ、カッと鳴くことがある。餌としては主にサケ、マス、タラなどの大型魚を捕られるが、ガン、カモなどの鳥類も捕食する。佐潟、信濃川、阿賀野川や福島潟などにすむ。
  • 絶滅危惧種の一つとしてレッドデータブックに挙げられているほか、1970年には国の天然記念物に指定された。

オオタカ

(ワシタカ目/ワシタカ科)

オオタカ

  • 全長50~56cm、翼開長106~131cm、漂鳥。
  • カラスくらいの大きさで、翼の幅は広く短いが、尾は長い。背は灰青色で、のどから腹にかけては白っぽくなっている。翼にも体にも黒く細い鷹斑模様が一面にあり、尾には4本の黒帯がある。ほとんど鳴かないが、繁殖期にはキッキッキッと鋭く鳴き続けることがある。
  • カモ、キジ、ドバトやノウサギ、リスなどを捕らえて食べ、海岸部や海岸線の松林を中心にすむ。

タゲリ

(チドリ目/チドリ科)

タゲリ

  • 全長32cm、翼開長72cm、冬鳥11月頃渡来。
  • ハトと同じくらいの大きさで、雌雄とも頭に長く黒い冠羽があり、顔は白いが、眼の下に黒色部がある。あごから腹にかけては白色で、胸には黒くて太い帯がある。背は緑色で、金属のような光沢をもち、美しい。飛び立つときには、ミューイとかミャーオなどとネコに似た特徴のある声で鳴く。
  • 地中や水中の昆虫類を餌とし、潟や水田にすむ。

オオバン

(ツル目/クイナ科)

オオバン

  • 全長39cm、翼開長74cm、留鳥。
  • ハトよりも少し大きく、雌雄ともくちばしと額が白いほか全身まっ黒。鳴き声はバンと違ってキョキョーン、キョキョンと高く響く。首を前後に振りながら泳ぎ、ときどき潜っては水草や水生昆虫などを食べる。
  • 県内では数は少ないものの、佐潟や福島潟では毎年のように繁殖しており、一年中みられる。

アカゲラ

(キツツキ目/キツツキ科)

アカゲラ

  • 全長24cm、翼開長39cm、留鳥。
  • ムクドリくらいの大きさで、キツツキとしてはくちばしが短い。雄は後頭部と下腹部が赤く、背は黒色と白色がまじっている。雌は赤色の部分が薄くなっている。一年中鳴き声が聞かれ、ケッ、ケッと鳴くほか縄張り宣言としてドラミング(くちばしで木を打つ)をする。幹や枝にいる昆虫を餌とするほか、木の実も食べる。
  • 県内では西蒲原郡、東頸城郡、長岡市、栃尾市などで繁殖しているほか、秋から冬にかけて福島潟や角田浜あたりまで移動してくる。

カシラダカ

(スズメ目/ホオジロ科)

カシラダカ

  • 全長15cm、翼開長24cm、冬鳥9月頃渡来。
  • ホオジロの仲間でスズメくらいの大きさ。驚くと短い冠羽が立つことからこの名がついた。ホオジロに似た色をしているが、冬は雌雄とも頭とほほが褐色で、腹の部分は白く、胸から脇にかけて褐色の縦斑がある。ピピチュルピピピィビィとヒバリのさえずりに似た美しい声で鳴く。
  • 草のみを食べ、山地や平地の林、川原などに多くすむ。

オオジュリン

(スズメ目/ホオジロ科)

オオジュリン

  • 全長16cm、翼開長25cm、漂鳥。
  • 雄は夏の間、頭と喉が黒く、ほほに白線がある。背は褐色だが、下腹部と腰は白っぽい。冬は頭と喉が淡褐色に変わる。雌は雄の冬羽に似ている。冬季にはチュウイーとかチュリーンと鳴く。
  • 一年中、湖沼や河川のアシ原にすみ、昆虫を餌とする。

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