新潟市美術館・新津美術館所蔵品による 秋葉区ゆかりの作家たち
最終更新日:2022年1月21日
会期 令和4年1月22日(土曜)から3月6日(日曜)
※月曜休館(ただし1月24日、2月21日は「あいてマンデ~!」で開館)
新潟市美術館・新津美術館所蔵品による「秋葉区ゆかりの作家たち」
ポスター
新潟市美術館と新潟市新津美術館、二館の所蔵品による「秋葉区ゆかりの作家たち」を開催します。新津美術館(1997年開館)では地域に根差した美術館として、笹岡了一をはじめとする秋葉区ゆかりの作家の作品を収集・展示してきましたが、新潟市美術館(1985年開館)も、旧小須戸町ゆかりの砂井正七や阿部展也など、現在の秋葉区ゆかりの作家の作品の収集・展示を続けてきました。本展では、そうして形成された両美術館のコレクションの中から、日本画、洋画、版画、彫刻、写真など多彩な分野にわたる秋葉区ゆかりの作家たち18名の作品約180点を、6つのテーマに分けてご紹介します。
新津美術館が立地する地域で育まれ、郷土の美術史で語り継がれる作家たちの作品をご覧ください。
新潟市美術館・新津美術館所蔵品による 秋葉区ゆかりの作家たちチラシ(PDF:470KB)
会期 | 令和4年1月22日(土曜)から3月6日(日曜) |
---|---|
休館日 | 月曜日(1月24日、2月21日は開館) |
開館時間 | 午前10時から午後5時(観覧券販売は午後4時30分まで) |
観覧料 | 当日券のみ |
主催 | 新潟市新津美術館 |
あいてマンデー! | 月曜日でも開館します。今回は1月24日、2月21日です。 |
こどもタイム | 展示室内で会話を楽しみながら鑑賞できます。 |
展覧会の見どころ
本展は、新潟市美術館と新潟市新津美術館の所蔵品の中から秋葉区ゆかりの作家18名、約180点の作品を、6つのテーマに分けてご紹介します。
1.砂井正七――大正期の眼差し
砂井正七《(作品)》1916年 新潟市美術館蔵
大正時代の砂井正七(さごい・しょうしち)の絵には、当時広まった白樺派のゴッホや岸田劉生の影響が見られます。また、砂井は今日ほとんど見られなくなった蒲原平野の稲架木(はさぎ)を描いた最初期の画家としても重要です。
同じく大正時代、旧新津町に建てられた図書館には富田温一郎や佐藤哲三郎など官展系の画家の大きな作品が飾られていました。それらの絵画は現在、新津美術館の所蔵品となっていますので、今回、参考作品として展示します。
2.昭和の戦争――笹岡了一と阿部展也
笹岡了一《コレヒドール島を望(む)》1943年 新潟市新津美術館蔵
昭和に入ると、旧新津町では若い教員たちを中心にして洋画同好会「緑人社」が結成され、同時期に始まった「新潟県展」(旧県展、第1回1930年開催)に出品するなど意欲的に活動しました。笹岡了一も緑人社の一員で、旧県展で特選を連続受賞するなどして頭角を現しました。ほかにも緑人社のメンバーとして現在の新津第一小学校の教員だった中川了吉、同じく第二小学校教員だった村手忠雄の作品が当館所蔵品となっています。笹岡は奇しくも太平洋戦争下、幼少期を小須戸で過ごした画家・阿部展也(あべ・のぶや)と同じフィリピンに従軍していました。
3.戦後の笹岡了一
笹岡了一《流沙》1968年 新潟市新津美術館蔵
笹岡は自身の過酷な戦争体験を主題化した画家としても知られています。中国大陸を描いた戦後の代表作「山西」シリーズや、新約聖書の例話「放蕩息子の帰宅」シリーズなどをご紹介します。「山西」、「放蕩息子」シリーズでは、抽象的な作風が音楽的に変奏したり展開したりする様子にもご注目ください。
また《梅の庭(武州越生)》や《田園が工場化する(古き流山)》、《新緑磐梯》、《宇奈月の山》、《杏の村(安茂里)》など、戦後の日本の風景を描いた作品も展示します。
4.阿部展也とその後の〈抽象〉
阿部展也《作品》1950年 新潟市美術館蔵
阿部展也は戦前から瀧口修造と詩画集を制作するなど、シュルレアリスム(超現実主義)の代表的な作家として活躍し、戦後はイタリア・ローマに移住して同時代の抽象美術運動を取り入れた前衛的な作品を発表しました。
新津出身の増井和弘や二村裕子も抽象的な平面作品を発表しています。同じく新津出身の彫刻家で長くフランスの大学で教鞭をとった原田哲男は、大規模な環境彫刻にも挑戦しています。
5.伝統と個性
高橋五仙子《新津町絵図(部分)》 新潟市新津美術館蔵
高橋五仙子(たかはし・ごせんし)の《新津町絵図》は鳥瞰図的な構図で旧新津町の名所旧蹟を描いたユニークな日本画です。また、中島萬木の日本画《秋葉山》は、現在も鬱蒼と茂る秋葉山の松林が大きな画面で描かれています。
日本画家・涌井欽也と白井進は現在ともに日本美術院特待です。書家・江川蒼竹は新潟の老舗の店名を揮毫したことでも知られていますが、父親の実家が旧小合村の園芸農家でした。佐藤昭平は東京で新聞社勤務をしながら絵を描き、深層心理や神話のモチーフを思わせる作品を残しました。
6.春の花と生命の輝き
秋山庄太郎 《チューリップ》 1987から90年 新潟市新津美術館蔵
最後のコーナーでは秋山庄太郎によるチューリップの写真62点を一堂に展示し、また旧新津市図書館の児童図書室に飾られていた式場庶謳子(しきば・しょおうこ)の版画作品を展示します。新潟市秋葉区は花の産地としても知られています。生命感溢れる式場の作品とともに、待ち遠しい春の季節を秋山の写真を通してお楽しみ頂ければ幸いです。
関連事業
美術講座
時間 午後2時から3時30分(各回約90分)
会場 新潟市新津美術館 1階レクチャールーム
定員 各回35名
参加 聴講無料、事前申し込み不要(当日直接会場へ)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、実施を見合わせる場合があります。
日程 | 講座のタイトル | 担当 |
---|---|---|
1月29日(土曜) | 秋葉区ゆかりの阿部展也 | 松沢寿重(当館館長) |
2月12日(土曜) | 女優 岡田茉莉子 木下惠介監督作品を中心に | 渡邉由里(当館学芸員) |
2月26日(土曜) | 描かれた子どもたち 西洋美術編 | 山岸亜友美(当館学芸員) |
3月6日(日曜) | 彫刻家・三木俊治と新潟の作家たち | 奥村真名美(当館学芸員) |
PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。