市報にいがた 令和2年8月16日 2725号 2面・3面
最終更新日:2020年8月16日
温かいまなざしを みんなが暮らしやすいまちへ
人権について考えてみませんか
差別や誹謗(ひぼう)中傷、いじめや虐待などの人権侵害はどうすればなくなるのでしょうか。さまざまな人権問題の相談を受けている人権擁護委員の古川さんに話を聞きました。
問い合わせ 広聴相談課(電話:025-226-1016)
新潟人権擁護委員協議会 会長
古川 浩(ふるかわ こう)さん
12年前から、神社の神職を務めながら人権擁護委員として活動。同協議会の会長を務めて6年目となる
人権擁護委員って何?
法務大臣から委嘱された人で、人権相談を受けたり、法務局と連携して人権侵害被害者を救済したりしています。地域の皆さんに人権について関心を持ってもらう活動も行っています。
自分と相手の大切さを認め合う
「人権」というと難しく考えがちですが、実は単純で皆さんに身近なものです。人権とは、「自分と相手が互いの大切さを認め、幸せに生きるための権利」だと私は考えています。家庭、学校、会社、地域など、人はさまざまな所で他の人と関わりを持っています。立場や状況が違っても、自分と相手は同じ人間で互いに尊重すべき存在であることを忘れないでください。
人権意識をしっかり持つためには、子どもに向けた人権教育がとても大切です。難しいことを教える必要はなく、「自分がされて嫌なことは他の人にしてはいけないよ」と子どもに伝えてください。子どもの時に人権の大切さを知ることができれば、大人になっても思いやりのある人になると思います。
新型コロナウイルスと人権
災害など非常事態のときは人権侵害が起きやすいといわれています。今、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、偏見や差別、心ない言動などが広がっています。これは、感染への過度な不安から自分の身を守ることに必死になり、他の人を思いやることができなくなっていることが要因として考えられます。また、今まで通りの生活ができないことへの不満や、感染への不安によるストレスもその一因です。新潟市内で感染が拡大した時にも、感染者やその家族、医療関係者への誹謗中傷や、SNSでの心ない書き込み、学校でのいじめなどの人権侵害が起きてしまいました。
大変なときこそ、互いに温かいまなざしを
非常事態のときこそ、自分と相手の人権を尊重することの大切さを思い出し、互いに温かいまなざしで助け合うことが大切です。相手の立場になって考え、人を思いやる心が地域全体に広がることで「暮らしやすいまち、人権を守るまち」につながるのではないでしょうか。
市内の小・中学校、高校などで「人権教室」を行っています
こんなことしていませんか?
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、以下のようなことが起きています。これらは人権侵害となることがあります。相手の立場を理解し、冷静に、思いやりを持って行動しましょう。
- 医療従事者などに対する入店・タクシー乗車拒否
- 医療従事者などの子どもに対するいじめや保育園への登園拒否
- 医療従事者などの家族に対する出勤拒否
- 感染者の住所や勤務先などの詮索
- インターネット、SNSでの心ない書き込みや根拠のない情報の拡散
- 県外ナンバー車両や所有者への嫌がらせ
- 外国出身者への嫌がらせや暴言
- マスクをしたくてもできない人への中傷
・基本的な感染予防としてマスクの着用をお願いしていますが、感覚過敏やパニック障害など、さまざまな事情で着用できない人もいます
「人権を侵害された」と思ったら新潟地方法務局の人権相談窓口へ
※土曜・日曜、祝日、年末年始を除く。このほかの相談先は情報ひろば2面に掲載
みんなの人権110番
電話:0570-003-110
さまざまな人権問題の相談窓口です。どこに相談していいか分からないときなどは、ここに電話をしてください。
時間 午前8時半から午後5時15分
女性の人権ホットライン
電話:0570-070-810
配偶者やパートナーからの暴力、職場などでのハラスメント、ストーカー行為、性差別的扱いを受けるなどの問題の、女性向け相談窓口です。
時間 午前8時半から午後5時15分
外国語人権相談ダイヤル
電話:0570-090-911
日本語が不自由な外国人向け相談窓口です。英語、中国語、韓国語など10の言語に対応しています。知り合いの外国人が困っていたら伝えてください。
時間 午前9時から午後5時
インターネット人権相談
パソコンやスマートフォン、携帯電話で相談フォームに入力して相談できます。
子どもたちの成長を見守る
夏休みなどの長期休業明けは、不登校が増えるといわれています。子どもの変化は大人が気付いてあげることが大切です。地域の子どもたちを見守る「子ども見守り隊」の増井さんに話を聞きました。
問い合わせ 学校支援課(電話:025-226-3299)
子ども見守り隊
増井 智子(ますい ともこ)さん
15年前から子どもたちの安全を見守る。青少年育成員や街頭育成委員など、子どもの健全な成長を見守る活動にも参加している
子ども見守り隊って何?
地域や学校と協力して小・中学生の登下校の見守りを行う人たちです。交通安全のほか、子どもたちが犯罪など危険な目に遭わないように見守っています。
子どもの変化に気付く
家から通学路がよく見えるので、昔から子どもが交通事故に遭いそうになるのを目にするたびに心配になり、家の外に出て子どもたちを見送っていました。約15年前に家の近くで大きな交通事故が起きたことがきっかけで、子どもたちの安全のため毎朝見守り活動をすることにしました。
いつも通る子どもの顔は大体覚えています。あいさつしたり少し話をしたりするので、いつもと様子が違うと「何かあったのかな」とか、すぐに分かりますよ。
子どもの話を聞き、寄り添う
長期休業明けは、うつむいて歩いたり元気がなかったりする子が多いように感じます。
以前、大型連休明けに学校に行きたくなくて泣いている子がいました。その子の親に相談され、しばらくの間一緒に登校しました。いろんな話をしながら登校しているうちに、徐々に泣かずに学校に行けるようになりました。誰かと少し話をするだけでも心が軽くなるのかもしれませんね。
もし子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、頭ごなしに怒るのではなく、まずは話を聞いてあげてください。行きたくない理由を教えてくれなくても、「何かあったらいつでも話を聞くからね」と伝えるだけで子どもは安心すると思います。
これから夏休みが終わり、小・中学校の授業が再開します。長期休業中に生活リズムが乱れていると心も乱れます。そのままの状態で学校が始まると、「行きたくない」と考えてしまうのかもしれません。学校が始まる1週間くらい前から規則正しい生活リズムに戻し、宿題などの進み具合も確認して、安心して登校できるようにしてあげるといいと思います。
みんなで子どもの成長を見守る
私は「近所のおばさん」として子どもたちを見守っています。ぜひ、皆さんも地域の子どもたちの様子を見守ってください。
また、子どもの様子がいつもと違うとき、いじめやSNSでのけんかなどが原因の場合もあると聞いたことがあります。心配なときは専門の相談先や学校に助けを求めてください。
家庭、地域、学校、みんなで子どもたちの健やかな成長を見守りましょう。
「よく見て渡ってね」「いってらっしゃい」など声を掛けて子どもたちを見送ります
子どもの変化に気付きましょう
悩みがあっても、保護者にうまく伝えられる子どもは少ないです。子どものちょっとした変化に気付き、「何か心配事があるの?」など、声を掛けてみましょう。
新潟地方法務局の子ども向け人権相談窓口はこちら
子どもの人権110番
電話:0120-007-110(参加費 無料)
時間 午前8時半から午後5時15分 ※土曜・日曜、祝日除く
対象 悩みのある子ども
※子どもに関わることであれば大人の相談も可
8月28日から9月3日は受け付け日時を拡大
・8月28日(金曜)・31日(月曜)から9月3日(木曜)午前8時半から午後7時
・8月29日(土曜)・30日(日曜)午前10時から午後5時
子どもの人権ミニレター
手紙でも相談を受け付けています。詳しくは「子どもの人権110番」に電話をしてください。
子どもの人権SOS(エスオーエス)-e(イー)メール
パソコンやスマートフォン、携帯電話からのメールで悩み事の相談を受け付けています。
法務省「子どもの人権110番」のサイトからeメールのバナーをクリックしてください。
※相談への返信には数日かかります
※このほかの相談先は情報ひろば2面に掲載
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