市報にいがた 令和3年7月11日 2746号 2面・3面
最終更新日:2021年7月11日
特集 ずっと元気に暮らすために 認知症と向き合う
新型コロナウイルス感染症の流行により高齢者の外出の機会や知人との交流などが減ることで、認知症の発見が遅れ重症化するリスクが高まります。
認知症の正しい知識や予防法を身に付け、安心して元気に自分らしく暮らしましょう。
問い合わせ 地域包括ケア推進課(電話:025-226-1281)
「いきいきサロン西小針台」の認知症予防出前講座の様子
?認知症を知ろう
認知症と向き合うには、どのような病気かを知ることが大切です。認知症の専門医に話を聞きました。
社会福祉法人
新潟市社会事業協会
信楽園病院脳神経内科
部長 下畑 光輝(しもはた みつてる) さん
認知症とは
さまざまな原因で脳の神経細胞が障害され、「物事を記憶・判断する能力」「時間や場所、人などを認知する能力」などが低下し、日常生活に支障が出ている状態です。
認知症の原因や症状はさまざまです。原因疾患の約6割がアルツハイマー型認知症といわれ、記銘力障害(物忘れ)と見当識障害(月日・曜日、時間などが分からなくなる)などで発症します。物忘れなど気になる症状がある人は、地域包括支援センターや医師に相談してください。
誰でもなり得る身近な病気
認知症の高齢者は令和2年時点で全国に約600万人、65歳以上の約6人に1人とされています。最近では、日本人の約2人に1人が亡くなるまでに認知症を発症するという報告もあります。また、65歳未満で発症することもあります(若年性認知症)。
健康な時から予防を
全ての認知症を確実に防ぐ手段は確立していないため、認知症の予防とは「発症しない」ではなく、「発症を遅らせる」「発症しても進行を緩やかにする」ということを意味します。適度な運動、バランスの良い食事、質の良い睡眠、人との交流や認知トレーニングなどを行うことで、発症を予防できる可能性があります。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患がある人は、適切に治療することが大切です。
早めの診断・治療が進行抑制やケアにつながる
多くの認知症は突然発症するわけでなく、前段階の軽度認知障害から認知症に進行しますが、この段階で適切な対応をとることで回復する人もいます。認知症になっても早期の治療やケアで進行の抑制を期待できます。また、一部の人は「治療可能な認知症」といい、薬や手術などで治癒することもあります。
早い段階での診断により本人の意思を踏まえ、将来の病状進行に備えた適切な介護方法や支援サービスの情報収集、ケア体制の構築が可能となります。それが「その人らしさ」を尊重したケアとなり、家族の介護負担の軽減にもつながります。
自分や家族のこととして考え支え合う
病状が進行すると、本人や家族だけでは解決できない困難も生じ得ます。いつ誰がそのような状況になるか分からないからこそ、本人やその家族がいつまでも住み慣れた地域でその人らしい生活ができるよう、医療、介護、福祉、行政、そして地域の皆さんが協力し、地域ぐるみで支え合うことが必要です。ご自身、家族、地域のために、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。
やってみよう 認知症の気づきチェック表
認知症の始まりや認知症が進行する可能性のある状態を確認できます。該当する項目に○を付け、合計点を確認してみましょう。
質問項目 | ほとんどない | 時々ある | 頻繁にある |
---|---|---|---|
同じ話を無意識に繰り返す | 0 | 1 | 2 |
知っている人の名前を思い出せない | 0 | 1 | 2 |
物のしまい場所を忘れる | 0 | 1 | 2 |
漢字を忘れる | 0 | 1 | 2 |
今しようとしていることを忘れる | 0 | 1 | 2 |
器具の説明書を読むのを面倒がる | 0 | 1 | 2 |
理由もなく気がふさぐ | 0 | 1 | 2 |
身だしなみに無関心 | 0 | 1 | 2 |
外出を面倒がる | 0 | 1 | 2 |
財布などが見当たらないことを他人のせいにする | 0 | 1 | 2 |
9点から13点の人 要注意
認知症予防策を積極的に生活に取り入れましょう。
14点から20点の人 要診断
既に初期症状が出ている可能性があります。かかりつけ医や地域包括支援センターに相談しましょう。
認知症安心ガイドブック
介護サービスや支援などをまとめた冊子です。
区役所健康福祉課などで配布、新潟市ホームページにも掲載しています。
まずは電話相談 地域包括支援センター
担当のセンターは中学校区で異なります。
( )は中学校区名
北区 | 阿賀北(松浜・南浜・濁川)電話:025-258-1212 くずつか(葛塚・木崎・早通※1)電話:025-386-8100 上土地亀(岡方・光晴※2)電話:025-386-1150 |
---|---|
東区 | 山の下(山の下)電話:025-250-0032 藤見・下山(藤見・下山)電話:025-290-7155 木戸・大形(東新潟※3 ・大形・木戸)電話:025-272-3552 石山(石山・東石山)電話:025-277-0077 |
中央区 | 関屋・白新(関屋・白新)電話:025-231-5659 ふなえ(寄居・新潟柳都)電話:025-229-3600 宮浦東新潟(東新潟※4・宮浦)電話:025-240-6111 鳥屋野・上山(鳥屋野・上山※5)電話:025-240-6077 山潟(山潟)電話:025-257-7090 |
江南区 | 大江山・横越(大江山・横越)電話:025-278-7860 かめだ(亀田・亀田西)電話:025-383-1780 曽野木両川(曽野木・両川)電話:025-282-7295 |
秋葉区 | にいつ日宝町(新津第五)電話:0250-22-1931 新津(新津第一・新津第二)電話:0250-25-3081 こすど(小合・金津・小須戸)電話:0250-61-1311 |
南区 | しろね北(臼井・白根北)電話:025-362-1750 しろね南(白南・白根第一)電話:025-373-6770 あじかた(味方・月潟)電話:025-372-5121 |
西区 | 小新・小針(小新・小針※6)電話:025-201-1351 坂井輪(坂井輪・五十嵐)電話:025-269-1611 黒埼(黒埼)電話:025-377-1522 赤塚(内野・赤塚・中野小屋)電話:025-264-3377 |
西蒲区 | 西川(西川)電話:0256-88-3122 中之口・潟東(中之口・潟東)電話:025-375-8833 巻(巻東・巻西)電話:0256-73-6780 岩室(岩室)電話:0256-82-5501 |
※1:葛塚中央コミュニティ協議会の区域を含む
※2:北区十二前を含む
※3:木戸小学校区に限る
※4:沼垂・笹口小学校区に限る
※5:中央区上沼・湖南・高美町を含む
※6:青山小学校区を含む
!認知症を予防しよう
バランスの取れた食事や適度な運動などを続けることは、認知症の予防に効果的です。
予防のポイント
1. 適度な運動を継続的に行いましょう
- ウオーキングやラジオ体操などの有酸素運動をする
- 掃除や洗濯などの家事や庭の手入れなど、生活の中で積極的に体を動かす
2. 1日3食、バランスの良い食事を心掛けましょう
主食、主菜、副菜を考えて食べると栄養バランスが良くなります。
主食 ご飯、パン、麺類など
主菜の材料 肉、魚、卵、大豆など
副菜の材料 野菜、キノコ、海藻、乳製品など
3. 6時間から7時間の睡眠を取りましょう
質の良い睡眠は体と心を健康に保つだけでなく、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβ(ベータ)タンパクの蓄積を防ぐといわれています。
4. 趣味や人との交流で脳を刺激しましょう
- 本の音読やパズルに取り組む
- 楽器や歌など楽しみを見つける
- 友人や家族などと話す。直接会えないときは電話や手紙のやり取りをする
笑ったり感動したりすることで脳が刺激されます。楽しく暮らしましょう。
作ってみよう 1品で主食、主菜、副菜が取れる うどんと野菜の卵焼き
好みの野菜やキノコなどを入れてアレンジもできます。
材料(4人分)
- ゆでうどん 1袋(180グラム)
- キャベツ 80グラム
- ニンジン 20グラム(2センチメートル程度)
- ピーマン 1個
- 油 小さじ1
- A
・水 50ミリリットル
・麺つゆ(3倍濃縮) 大さじ1
・塩 少々
- ピザ用チーズ 大さじ3
- 卵 4個
作り方
- ゆでうどんは水洗いし、約1センチメートルに切る。
- キャベツ、ニンジン、ピーマンは千切りにする。
- フライパンに油を入れて熱し、2.をしんなりするまで炒める。
- 3.に1.とAを入れてさらに炒める。
- 4.にチーズをのせ、その上に卵を溶いて流し入れ、蒸し焼きにする。
(1人分栄養価)エネルギー:158キロカロリー タンパク質:9.5グラム 脂質:8.4グラム 炭水化物:12.7グラム 食塩相当量:1.0グラム
体と脳のトレーニングをしよう
体を動かしながら脳を使うと認知機能の低下を抑えることができます。少しずつ動作を変えて脳を使いましょう。間違えてもよいので楽しんで行うことが大切です。
オススメを紹介します 歌+手足の運動
西区運動普及推進委員
八子 迪子(やこ みちこ) さん
童謡「夕日」の歌詞
- ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む
- ぎんぎんぎらぎら日が沈む
- まっかっかっか空の雲
- みんなのお顔もまっかっか
- ぎんぎんぎらぎら日が沈む
1 姿勢
いすに浅めに座り、背筋を伸ばす。
2 手の動作
両手を顔の高さまで上げ、1を歌いながら手と手首をしっかり回す。
1を歌い終わったら両手を1回たたく。
2から5まで同様に続ける。
3 足の動作
1を歌いながら足踏みをする。
1を歌い終わったら足を大きく開く。足を戻して、2から5まで同様に続ける。
4 手と足の動作
1を歌いながら、顔の高さに上げた手と手首をしっかり回し、同時に足踏みをする。
1を歌い終わったら足を開き、同時に両手を1回たたく。足を戻して2から5まで同様に続ける。
楽しく予防に取り組みましょう
地域包括支援センターでは、地域の茶の間やサロン、老人クラブ、認知症カフェなど高齢者が地域の人と交流できる場を紹介しています。
参加者に聞きました
米山さん(西区)
私たちの地域のサロンは月2回活動をしていて、うち1回は運動普及推進委員さんを呼んで認知症予防の運動などをしています。みんなで笑って過ごせるこの場所に来るのが毎月の楽しみなので、これからも元気に参加し続けていきたいです。
市長より
新潟市長
超高齢社会が進む中で、認知症は誰もがなり得る病気です。認知症を自分事として考え、正しく理解し認知症の方やその家族を温かく見守り支え合うことが大切です。また、認知症は早期の発見・治療で進行を遅らせることができます。日頃から予防に取り組み、少しでも不安に感じたら地域包括支援センターなどに相談してください。
新潟市では、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、予防・生活支援・介護・医療・住まいを包括的に提供する地域包括ケアシステムの深化・推進に取り組んでいます。ずっと安心して暮らせるまちを皆さまと一緒につくってまいりたいと思います。
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