市報にいがた 令和3年11月7日 2754号 1面から3面
最終更新日:2021年11月7日
生産者と消費者をつなぐ 中央卸売市場
今号では、中央卸売市場(しじょう)で働く人たちや同市場の役割を紹介します。
問い合わせ 同市場(電話:025-257-6767)
市長より
実りの秋です。スーパーなどに並ぶ旬の野菜や果物、魚、花などから、四季の変化を感じることができます。
これらの生鮮品を生産者から集めて、小売店や飲食店などへ届ける役割を担っているのが、江南区にある新潟市中央卸売市場です。
朝早くから卸売業者、仲卸業者、売買参加者などが活発に働き、私たち市民に新鮮な食品などを届けてくれます。まさに「市民の台所」です。
県内外の産地からたくさんの商品を仕入れ、一つの産地が不作・不漁で品不足の場合でも別の産地から品物を確保し、安定的に供給する重要な役割を果たしています。
平成19年には、品物を最適な温度帯で管理できる冷蔵保管庫を全国に先駆けて整備するなど、高水準のコールドチェーンシステム(低温物流方式)を導入し、より安心・安全な生鮮品の供給を実現しています。
市民の食を支える同市場を通じて、今後も食と花の魅力を生かした交流拠点づくりに取り組んでまいります。
新潟市長
市場で働く人を紹介 新潟の食を支える
農家さんを笑顔に 卸売(おろしうり)業者
新潟中央青果株式会社
果実第二事業部
長谷川 紳(しん) さん
取引前の準備を大切に
私は卸売業者として市場内で26年間働いています。果物を農協や農家さんから集荷し、仲卸業者や売買参加者へ販売するのが私の仕事です。
この仕事は、集荷までの事前準備が大切です。毎日農協へ出向き、実の大きさや味の良さ、畑の状況などを確認しています。このほか、仲卸業者やスーパーマーケットの担当者から教えてもらう売れ筋情報と毎年の取引実績などを基に商品を仕入れています。
新潟の食を豊かに
農家さんは全国的に減ってきていますが、売れ筋情報を伝えて生産のアドバイスやサポートをし、商品をしっかり売ることで応援したいと思っています。「作って良かった」と笑顔になってもらうことが私の喜びです。農家さんが一生懸命作った小玉スイカの新商品がヒットした時はうれしかったです。農家さんが元気になることが、新潟の食の豊かさにつながると思っています。
新潟産品を届ける 仲卸(なかおろし)業者
丸一新潟青果株式会社
蔬菜(そさい)部
磯部 伸行(のぶゆき) さん
仕入れた野菜は小売店を通し皆さんの食卓へ
私は、市場で卸売業者から仕入れたり生産者から直接買い付けたりした野菜を、県内外のスーパーマーケットに販売する仕事をしています。
自分が選んだ新しい品物を売り込んで、実際に店頭で取り扱ってもらった時に、とてもやりがいを感じます。
新潟産品を全国に
首都圏の担当者から「新潟の商品は良いものだから、もっと出荷してほしい」と言われることがあります。
今は柿やル レクチエが旬の時期です。当社の持つ販売ルートを生かし、新潟産品を首都圏だけでなく全国に売り込んでいきたいです。
最近はスーパーマーケットもオンライン販売に力を入れているので、遠方の人にも新潟産品を食べてもらう機会が増えると思います。
小売店などへの商品の企画・提案を通じて、新潟の食を広めていきたいです。
中央卸売市場ってどんなところ?
同市場 井上
食卓に並ぶ食材や、庭や部屋を彩る草花などは、多くの人を介して消費者の元へ届けられます。生産者と消費者をつなぐパイプ役を担い、青果・水産物・花(か)きなどを公正な価格で安定的に供給させているのが中央卸売市場です。
同市場には、消費者のニーズに合った適切な量と種類の生鮮食料品が全国から毎日集まります。これらの品物は、市場内で行われるせりなどの公正な取引を経て迅速に仕分けられ、スーパーなどの小売店に配送されます。
中央卸売市場の歴史
同市場誕生前
江戸時代中期から、人が多く集まる各地の「朝市」と呼ばれる場所で、生産者が野菜や果物などを直接持ち寄って売り買いをしていました。
朝市は道路上で開かれていたため、自動車が普及したことで交通障害の問題が指摘されるようになりました。また、人口の増加や都市の発展とともに、より多くの品物を集めて安定的に消費者へ届ける必要が出てきました。
本町市場の様子(昭和20年代)
市場誕生
昭和39年、本州日本海側初の中央卸売市場(当時は青果部のみ)を中央区上所に設置し、公正な価格を保って安定した青果の供給ができるようになりました。
統合・移転
平成19年に新潟魚市場・新潟本町生花市場・新潟園芸市場と統合し、青果・水産物・花きの卸売市場を集約して現在の江南区茗荷谷へ移転しました。
現在の中央卸売市場
生鮮食料品などが消費者に届くまで
市場の一日
入荷・配列 前日午後1時から午前4時ごろ
大型トラックで全国各地から生鮮食料品などが運び込まれます。卸売業者は運び込まれた品物を配列し、取引の準備をします。
1日の平均取扱数量
青果…約300トン
水産物…約120トン
花き…約16万鉢
下見 午前4時ごろ
仲卸業者や売買参加者は仕入れたい品物を下見し、品質の確認や相場の予想をしながら、せりの開始を待ちます。
せり 午前5時ごろ
せり人(卸売業者)の威勢の良い掛け声が広い場内に響き渡り、せりが始まります。1日の中で市場が最も活気づく時間です。
買い手(仲卸業者・売買参加者)の競争が起こることで、需要と供給が反映された適正価格が決定します。
分荷・販売・配送 午前5時30分ごろ
仲卸業者は購入した品物を、売買参加者や買出人が買いやすい大きさや量に分けて販売したり、小売店などに配送したりします。
清掃 午前10時ごろ
慌ただしかった売り場も静かになります。
卸売業者や仲卸業者は場内を清掃します。
市場で食べよう 新鮮食材を使った食事
同市場内の食堂は誰でも利用できます。仕入れたての新鮮な食材を味わってみませんか。
時間 午前8時から
※閉店時間は店舗により異なる。営業日や店舗一覧など詳しくは新潟市ホームページに掲載
YouTube(ユーチューブ)で市場をのぞいてみよう
中央卸売市場の役割や1日の流れ、せりの様子、市場で働く人たちの思いを動画で配信しています。
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