市報にいがた 令和5年6月4日 2792号 1面から3面

最終更新日:2023年6月4日

口の健康でいつまでも元気に

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  • 目標 3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標 4:質の高い教育をみんなに
  • 目標 17:パートナーシップで目標を達成しよう

 6月4日から10日は「歯と口の健康週間」です。いつまでも健やかに暮らせるよう、口の健康づくりに取り組みましょう。

問い合わせ 健康増進課(電話:025-212-8157)

潟東小学校 笛木校長(左)、同校5年生 大野さん(中央)、同校 吉越教諭(右)
写真/潟東小学校 笛木校長(左)、同校5年生 大野さん(中央)、同校 吉越(よしこし)教諭(右)

市長より

中原八一市長

 「食べる」「話す」「表情を作る」など、私たちの日常生活と口は大きく関係しています。楽しみのある生活を維持して心身ともに健康で過ごすためには、生涯にわたり口の健康を保つことが大切です。

 本市では、平成5年に「生涯歯科保健計画」を全国に先駆けて策定し、平成30年には「歯科口腔保健推進条例」を施行するなど、生涯を通じて切れ目のない歯科保健サービスを受けられる環境整備を進めてきました。今後も、市民の皆さまの口の健康づくりを支援し、健康寿命の延伸を目指していきます。

 日頃のセルフケアはもちろん、かかりつけ歯科医で定期的に健診を受けて口の健康を守り、いつまでも生き生きと元気に暮らしていきましょう。

新潟市長

中原八一

どうして口の健康が大切なの?
歯科医師に聞きました

島田 正美さん
しまだ歯科こども歯科クリニック
島田 正美(まさみ)さん
(市歯科医師会理事)

1 口の病気は虫歯と歯周病

 口の病気には、主に「虫歯」と「歯周病」があります。
 歯のカルシウムが溶かされて穴が開いてしまうのが虫歯です。虫歯は、虫歯菌が口の中の食べ残しを分解するときに発生する酸が原因で起こります。食べ物などの糖質が分解されて酸となるため、砂糖を含む物を頻繁に食べたり飲んだりする人は虫歯になりやすくなります。
 歯周病には、歯肉炎と歯周炎があります。歯茎に腫れや出血が起こる歯肉炎から始まり、悪化すると歯を支える骨が溶けて歯が抜ける歯周炎になります。歯周病は、歯と歯茎の隙間の歯周ポケットで増殖する歯周病菌が出す毒素が原因で発症し、放置すると症状が進行してしまいます。

健康な歯と歯周病の歯のイラスト

2 口の病気は体の健康を脅かす

 虫歯と歯周病は、全身の健康にも影響します。歯を失うことで食べられる物が限られて低栄養になったり、咀嚼(そしゃく)ができず脳への刺激が少なくなることで認知症の悪化などにつながったりします。また、歯周病にかかると歯周病菌が出す毒素が血管を通って全身に巡り、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などの大きな病気の発症・進行リスクが高まります。
 現状では、歯周病に即効性のある治療法はありません。さらに歯周病は、自分では初期症状に気が付かないことが多く、気付いた時には症状がかなり進行している場合もあります。10歳代から20歳代など若くても、歯周病の入り口である歯肉炎にかかる人は多いので、セルフケアをきちんと行うことが大切です。

歯周病が体に及ぼす影響

3 定期的な健診で予防を

 口の健康を守るために重要なことは、予防と早期発見です。少なくとも年に1回は歯科医院の定期健診を受け、口の状態を診てもらいましょう。
 成人の定期健診では、まず歯周ポケットの深さや歯茎の炎症などを確認し、歯周病の検査をします。その後、歯垢を赤く染め出して患者さん自身に汚れの付着を見てもらい、日頃のセルフケアのアドバイスをします。最後に、歯石取りなどのクリーニングやフッ化物の塗布を行い終了です。
 定期的に健診を受けることで、セルフケアが正しくできているか確認でき、虫歯や歯周病にかかったときの早期発見にもつながります。早い段階で症状を発見できるとスムーズに治療できたり、治療期間や治療費を抑えられたりするメリットがあります。
 口の健康を保っていつまでも元気に暮らすため、かかりつけ歯科医を持ち、定期健診を受けましょう。

やってみよう 歯周病チェック

 20歳以上の約8割が歯周病にかかっているといわれています。自分の口の健康状態を確認してみましょう。

チェック項目

  • 歯茎に赤く腫れた部分がある
  • 口臭が気になる
  • 歯茎が痩せてきた
  • 歯と歯の間に物が詰まりやすい
  • 歯を磨いた後、歯ブラシに血が付いたり、すすいだ水に血が混じったりすることがある
  • 歯と歯の間の歯茎が鋭角的な三角形ではなく、うっ血してぶよぶよしている
  • 時々、歯が浮いたような感じがする
  • 指で触ると、少しぐらつく歯がある
  • 歯茎から、うみが出たことがある

1つでも当てはまると、歯周病の可能性があります。歯磨きの仕方を見直し、歯科医院を受診しましょう。

健康な人生のために成人歯科健診を受診しよう

 市では、40歳と50歳の人を対象に成人歯科健診を実施しています。今年度の対象者には、今年3月に受診券(はがき)を送付しています。委託医療機関に受診券を持参することで、歯科健診を受けることができます(要予約)。ぜひ受診してください。

受診期間 来年3月31日まで
費用 500円
問い合わせ 区役所健康福祉課

自分の歯を守るセルフケア

全年代向け

POINT 歯ブラシは優しく小刻みに動かそう

 歯ブラシは、毛先が広がらない程度の軽い力で握って動かしましょう。一度に磨く範囲は1本から2本とし、小刻みに20回程度磨きましょう。磨く歯の順番を決めると、磨き残しを防ぐことができます。

POINT 歯磨き後のうがいは軽めにしよう

 ほとんどの市販の歯磨き剤には、フッ化物が含まれています。フッ化物が口の中に残るよう、歯磨き剤を使った後は、大さじ1杯程度の水で5秒間のぶくぶくうがいを1回だけするようにしましょう。フッ化物を含むうがい薬の使用も、虫歯予防に効果的です。

POINT デンタルフロスや歯間ブラシを使おう

 歯ブラシのみで取れる歯と歯の間の歯垢の割合は約6割です。デンタルフロスなどの歯間部清掃用具を併用すると、約9割の歯垢を取ることができます。歯磨き前に歯間部清掃用具を使うようにすると、使用を習慣化しやすくなります。

イラスト

POINT 禁煙しよう

 喫煙は歯茎の組織を壊し、歯周病菌が増えやすい環境をつくります。医療機関の禁煙外来を利用することで、禁煙の成功率が上がります。

イラスト

子ども向け

POINT フッ化物の利用を習慣付けよう

 歯を強くするため、うがいができるようになる4歳頃からは、フッ化物を含んだ水でぶくぶくうがいをする習慣を付けましょう。
 また、永久歯が生えそろうまでは歯科医院で定期的にフッ化物を塗ってもらいましょう。

POINT 甘いおやつの取り過ぎに注意しよう

 糖分を飲食する時間・頻度が多くになるにつれ、虫歯になりやすくなります。おやつは1日2回以下にして、時間を決めて取りましょう。

POINT 小学4年生までは保護者が仕上げ磨きをしよう

 小さい子どもは自分だけでは磨き残しが出やすいです。
 10歳頃までは保護者が仕上げに磨いてあげましょう。

イラスト

高齢者向け

POINT お口の体操をしよう

 口は「食べる」「話す」「表情を作る」などの機能を担っていて、口の健康を保つことは体の健康を守ることにつながります。口も体と同じく、体操で機能を維持・向上させることができます。食事前や入浴時に、継続して「お口の体操」を行いましょう。

お口の体操
1. 唾液腺マッサージ

 両手を頬に当て、ゆっくり円を描くようにマッサージ(前回し→後回し)

イラスト

2. 舌の運動

  1. 舌を前に出す 
  2. 舌を左右に動かす 
  3. 唇をゆっくりなめる(右回し→左回し)

イラスト

3. 発音

 ゆっくりと口や舌を動かし、大きな声ではっきりと丁寧に発音する

  1. 「パ」「タ」「カ」「ラ」 
  2. 「パンダのたからもの」

イラスト

繰り返し発音してみよう!

子どもの頃から丈夫な歯を 保育施設、学校での取り組み

 新潟県の12歳児(中学1年生)の1人平均虫歯本数は0.2本で、全国で最も少ないことが分かっています(文部科学省「令和3年度学校保健統計調査」)。
 市では、子どもの頃から正しい口の知識を身に付けられるよう、保健指導などに取り組んでいきます。

問い合わせ 保健給食課(電話:025-226-3206)

市の主な取り組み

市立保育園・幼稚園・小学校など
歯科健診、フッ化物洗口
市立小・中学校
歯科衛生士による歯科保健指導

小学生に聞きました

大野 陽翔さん
潟東小学校5年生
大野 陽翔(はると)さん

 学校で歯科衛生士さんに、虫歯や歯肉炎の予防方法について教えてもらいました。食事やおやつを食べる回数を増やしすぎず、食べる時間も長くしすぎない方が、虫歯を予防しやすいことに驚きました。
 授業で習った歯ブラシやデンタルフロスの使い方をいつもの歯磨きに生かして、これからも自分の歯を守っていきたいです。

歯科保健指導の様子(同校)
歯科保健指導の様子(同校)

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