市報にいがた 令和6年7月7日 2818号 1面から3面
最終更新日:2024年7月7日
暮らしを支える地域の絆
私たちの日常生活を支える自治会・町内会、地域コミュニティ協議会などの地域活動。
今号では、地域活動について取り上げます。
問い合わせ 市民協働課(電話:025-226-1105)
- 目標 11:住み続けられるまちづくりを
- 目標 17:パートナーシップで目標を達成しよう
市長より
自治会・町内会や地域コミュニティ協議会などの地域活動が生み出す絆は、私たちの普段の生活を支えるだけでなく、災害など「いざというとき」にも協力し合い大きな力を発揮する、人と人の大切なつながりです。
令和6年能登半島地震においても、自治会・町内会などの地域団体の皆さまには、避難所の運営や避難の呼び掛け、支援制度の情報周知など、多くのご協力をいただいております。改めて感謝申し上げます。
高齢者支援や登下校中の子どもたちの見守り、防災訓練の実施、地域の催しの運営など、自治会・町内会などが行う地域活動は、私たちの暮らしに直結しています。人口減少や少子高齢化が進む今だからこそ、地域活動の重要性を再認識していただきたいと思います。
地域の絆が深まり、支え合いの輪が広がっていくことを願っています。
新潟市長
地域の力で 暮らしやすく 安心・安全なまちへ
地域活動について詳しい2人に話を聞きました
NPO法人まぢラボ
代表理事 山賀 昌子(まさこ)さん
内野西が丘自治会
会長 阿部 哲也さん
自治会・町内会や地域コミュニティ協議会などが行う「地域活動」とは、どんな活動なのですか?
山賀さん 地域活動は、自分たちの力で自分たちの地域を住みやすくしたり、支えたりする活動です。「暮らしに関係する公的なこと=行政がすること」と、つい考えてしまいがちですが、住民が自分たちで考えて活動することで効果が高まる取り組みも多くあります。
どんな団体が地域活動を行っているのですか?
山賀さん 自治会・町内会、地域コミュニティ協議会のほか、PTAやボランティア団体が活動をしています。また、地縁に関係なく、防災や福祉など分野ごとのNPO法人や市民団体が地域活動に携わるケースも多くあります。
地域活動にはどんな分野の活動があるのですか?
山賀さん 防災・防犯や福祉、環境美化・交通安全・教育などの活動があります。
阿部さん 私たちの自治会もさまざまな活動をしていますが、大まかには、イベント的な活動と日常的な活動の2種類に分けることができると思います。
イベント的な活動では、夏祭りや町内一斉清掃などを実施しています。日常的な活動には、道路・公園のごみ拾いや草刈り、ごみステーションの管理、夜間の防犯パトロール、冬場の除雪などの取り組みがあります。意外に思われることが多いですが、防犯灯の設置や維持管理も自治会で行っていることの1つです。
山賀さん 避難訓練などの防災活動は、複数の自治会や団体で行ったほうが効果的との考えから、自治会よりも広域な地域コミュニティ協議会で実施する所も多いです。
全国的な傾向で、新潟市も自治会加入率が年々減少してしまっているようですね。
山賀さん 加入しない理由としては「活動に関わる時間がない」「人間関係が煩わしい」「加入するメリットが感じられない」などの声を聞くことがあります。しかし、イベントなどを通じて地域の顔見知りを増やすことで災害などの「いざというとき」の助け合いに役立てたり、草刈りなど日頃からきれいなまちを保つことで犯罪を防いだりするなど、多くの地域活動が住民の安心・安全な暮らしにつながっていることを知ってほしいです。
阿部さん 私も「自治会って何をやっているか分からない」と言われる状況については、改善が必要だと思っています。例えば、内野西が丘自治会では住民に芝桜を植えてもらうイベントなどを行っており、このような住民参加型のイベントを通じて自治会の活動内容を認識してもらうことがとても重要だと考えています。
また、地域活動を行う上では、「やらなくてはいけないこと」と「やりたいこと」を分けて考えることも大切です。特に、「やりたいこと」はそれぞれの地域の年齢層や土地柄によってさまざまだと思います。防犯灯の設置など直接的に暮らしを支える「やらなくてはいけないこと」を行いながらも、「やりたいこと」を自分たちで考え合って実行していくことができれば、みんなで地域活動を楽しむことができるのではないでしょうか。
人口減少や少子高齢化が進む現代における、地域活動の大切さを教えてください。
山賀さん 現代の社会では、1世帯当たりの人数の減少や、高齢者だけの世帯の増加により、家族だけで暮らしを成り立たせることが難しくなってきています。高齢者や子育て中の人の孤立化は、皆さんもよく聞く問題ではないでしょうか。また、人口減少が進むと、暮らしを支えているさまざまな公的サービスなどが縮小していく可能性もあるので、地域活動はこれからますます重要になると思います。
最後にひと言お願いします。
阿部さん 地域活動に参加したことがない人には、ぜひ一度活動に参加してみてほしいです。実際に「公園の草刈りに参加してみたら意外に楽しかったので次回も参加したい」などの声をもらうことがあります。活動を知ったり経験したりすると新しい発見があると思うので、まずは自分の地域の活動に興味を持ってもらえるとうれしいです。
政令指定都市の中で2位! 自治会・町内会の加入率
新潟市は地域コミュニティ機能が充実し、住民による自治・支え合いの意識が高い都市です。
順位 | 市町村名 | 加入率 R5 |
加入率 R4(参考) |
加入率 R3(参考) |
---|---|---|---|---|
1 | 浜松市(静岡県) | 94.4パーセント | 94.5パーセント | 95.0パーセント |
2 | 新潟市 | 88.2パーセント | 88.5パーセント | 89.8パーセント |
3 | 熊本市(熊本県) | 85.5パーセント | 85.3パーセント | 84.9パーセント |
10 | 名古屋市(愛知県) | 68.7パーセント | 68.7パーセント | 69.7パーセント |
18 | 相模原市(神奈川県) | 47.0パーセント | 48.5パーセント | 49.8パーセント |
※指定都市地域振興主管者連絡会議(令和5年)で回答があった18市から抜粋
もしも地域団体の活動がなかったら… 身近な暮らしで困るかも
安心して夜道を歩けない
まちの景観や衛生環境が悪い
子どもの登下校を見守る人がいない
隣近所の交流の場がない
地域課題の解決へ 地域コミュニティ協議会の取り組みを紹介
地域コミュニティ協議会は、小学校または中学校区ごとに、自治会・町内会を中心としたさまざまな団体などで構成される組織です。市民自治の推進を図るため、市民と市が協働し、地域のまちづくりや課題解決に取り組んでいます。
角田地区コミュニティ協議会(西蒲区)
多世代が集まって課題解決へ みんなの居場所づくり
同協議会
宮 由衣さん
地域課題を整理して、解決に向けた取り組みを考える
角田地区には地域ぐるみで子育てを行う良い環境がありながらも、人口減少や高齢化などによって、高齢者の生活支援、子どもの遊び場や大人の集まる場所の確保、移住してくる人へのサポートなど、いくつかの課題がありました。そこで、「多世代が集まり、地域の課題を共有・解決できる場をつくろう」と思い、「みんなの居場所づくり」に取り組み始めました。
取り組みの問題点を解消しながら、より良い方法を見つける
居場所づくりを考え始めた時に、昔は地域の海水浴場にある浜茶屋がみんなの集まる場になっていたことを思い返しました。かつての浜茶屋のように、多世代が交流できる場を地域につくろうというアイデアが出てきた一方で、「どうやったら続けていけるか」「固定の居場所をつくっても、家が遠い人は行きづらいのではないか」などの悩みも出てきました。悩みを解消するために見いだした方法が、「キッチンカーを活用した移動式の居場所づくり」でした。
住民が集まる機会を増やし、多くの地域課題の解決へ
キッチンカーを活用する1番のメリットは、みんなが集まれる居場所をどこにでもつくれることです。地域のさまざまなイベントにキッチンカーを出店することで、多くの人が集まり交流する機会をたくさんつくることができます。地域住民が交流する場が増えれば、困り事に対応できる機会も増え、地域課題や困り事を解決することができると考えています。
これまでの取り組みでは、各種イベントに外部からキッチンカーを呼び、協議会のメンバーが手伝いをしながらノウハウを学びました。今後は、自分たちで食事と交流の場をつくってみるなど、さらに実践的な取り組みを進めていきたいです。
Instagram(インスタグラム)で「地域の浜茶屋」というアカウントを作り、居場所づくりの取り組みを発信しています。「SNSを利用して、より多くの人に活動を知ってもらいたいです」と宮さんは話してくれました。
岩室地域コミュニティ協議会(西蒲区)
安心して暮らせる地域へ 空き家・空き地の利活用
豊かな自然環境に恵まれているものの、高齢化や人口減少が加速的に進んでいる同地域内の間瀬地区。地域の現状を明らかにするため、中学生以上の全住民にアンケートを実施。現状や課題を把握するとともに、アンケート結果の中で関心の高かった「空き家・空き地」の問題に取り組むことにしました。
住民が一体となって取り組めるよう「空き家マップ」を作成。これからは、家主との交渉や、社会実験などを含めた具体的な利活用方法の検討を進めていきます。
西内野コミュニティ協議会(西区)
地域の組織力向上へ 持続可能な地域づくり
西内野地区では、さまざまな地域活動が行われ、参加者も多くにぎわっている一方で、活動の担い手が高齢世代に偏っている課題がありました。課題解決のため、「多世代が関わり、地域活動を持続させる仕組みづくり」に取り組むことにしました。
まずは、情報共有や意思決定などの改善のため、同協議会内に「運営会議」を設置。今後は地域住民にアンケートを行い、結果の見える化や共有、検証を通じて、担い手の発掘や育成に取り組みます。
上所校区コミュニティ協議会(中央区)
みんなが使いたくなる駅へ 新駅を地域で育てる
令和7年春に開業予定のJR越後線・上所駅。みんなが使いたくなる駅を目指し「越後線一(いち)きれいな駅」をスローガンに、駅を大切にしていくための取り組みを開始しました。
建設主体のJR東日本や市・区との継続的な連携づくりや、地域住民の活動参加促進に取り組んでいます。また、きれいな駅を守るための「上所駅サポート隊(仮称)」の結成に向け、ほかの駅の事例学習や調査を実施しました。今後は、具体的な計画作りと実験的な取り組みを行っていきます。
気軽に問い合わせを 地域活動に参加しませんか?
新潟市内には、99の地域コミュニティ協議会があります。暮らしやすい地域や、安心・安全な地域づくりのために、住んでいる地域の活動にぜひ参加してみませんか。興味のある団体がある区役所に、気軽に問い合わせてください。
※活動内容など詳しくは新潟市ホームページに掲載
問い合わせ先 | 電話番号 |
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北区役所地域総務課 | 電話:025-387-1165 |
東区役所地域課 | 電話:025-250-2120 |
中央区役所地域課 | 電話:025-223-7025 |
江南区役所地域総務課 | 電話:025-382-4624 |
秋葉区役所地域総務課 | 電話:0250-25-5670 |
南区役所地域総務課 | 電話:025-372-6605 |
西区役所地域課 | 電話:025-264-7172 |
西蒲区役所地域総務課 | 電話:0256-72-8156 |