BRTの見直しはどうして進められたのか

最終更新日:2022年2月22日

BRTの見直しはどうして進められたのか

新バスシステム・BRTの検討

 「バスを何とかしてくれ」。市民の皆さんと意見交換する中で、新バスシステム・BRTに対し「これほど不満があるとは」と衝撃を受けました。市民の皆さんの役に立つバスにしたい。新バスシステム・BRTの改善を進めていかなければならない。これが見直しにあたり考えたことです。
 2015年9月に新バスシステム・BRTは導入されました。将来にわたってバス交通を維持するため、利用者減少が減便やサービス低下を招き、更なる利用者の減少を招くという「負の連鎖」を断ち切り、将来にわたって持続可能なバス交通体系を構築することが目的とされていました。
 一方で、新潟駅や古町と郊外との直通便が減り、乗り換えが必要となったため、市民やバス利用者から不満や批判の声が上がっていました。これに対し就任後まず新バスシステム・BRTを検証する必要があると判断し、2019年7月に利用者へのアンケートを実施し、10月にはその結果を踏まえた4年間の総括を取りまとめました。
 また市役所に組織横断的な「まちづくり×バス交通推進チーム」を立ち上げ、さらに専門的な知見を取り入れるため神奈川中央交通をアドバイザーに委嘱し、新バスシステム・BRTの検証を行ってきました。
 運転手不足と総走行距離数の維持の2つの課題を両立する中で「さらなる直通便の増便は難しいこと」、「予定していた連節バスの4台追加購入の見合わせ」、「専用走行路の設置は議論できる状況ではないこと」などを明らかにしました。


2019年6月に利用者アンケートを実施

新型コロナウイルス感染症の発生とバス交通への打撃

 検証を順調に進めてきましたが、2020年2月末に新型コロナウイルス感染症が突然本市を襲いました。バス利用者数が大きく減少し、バス事業者の経営が危機的状況に直面しました。新型コロナウイルスによる大きな影響は、新バスシステム・BRT導入による効率化で生み出した効果(余力)さえも失わせてしまったと言えます。
 新潟交通がこうした厳しい状況を乗り越え、事業を継続することこそが市民の日常生活の足となるバス交通を確保することにつながると判断しました。2020年9月新潟交通と協議の上、年間走行キロ数とBRT区間運賃の変更手続きを停止したうえで、運行事業協定を再延長することになりました。

公約の転換

 協定を再延長した2020年9月以降も、新型コロナウイルス感染症の収束を見通せる状況とはなりませんでした。またバス業界を取り巻く環境もすぐに以前の状況に戻ることは見込めないことから、私の公約の「新バスシステム・BRT大幅見直し」をやむなく転換しました。新型コロナウイルス感染症の影響とは言え、公約を転換せざるを得なくなったことは極めて残念な思いです。
 当面は、バス待ち環境などできうる改善策を行っていくため、2020年度からの3年間の「バス交通改善事業」を着実に実施し「わかりやすく利用しやすい、満足度の高いバス交通の実現」に向け取り組んでいます。既に青山結節点の防風パネルと待合室、メディアシップ前のバス停屋根増設が整備完了しています。
 また長引くコロナ禍によって大きな打撃を受けているバス交通の維持と回復に向けて本市として必要な支援を行うことで、市民の皆さまに欠くことのできないバス路線ネットワークを出来る限り維持し、市民や来訪者の移動利便性を確保していかなければならないと考えています。

今後のバス交通について

 現在本市の進める新潟駅周辺整備事業は着実に進んでいます。駅を基点に初めてバスを南北に結ぶ駅直下バスターミナルの完成や、国の直轄事業で中長距離バスターミナル「バスタ新潟」が駅南口に整備される予定です。こうした整備によって新潟駅の交通結節機能の強化が図られるとともに、駅周辺の回遊性や利便性は大きく向上することが期待されます。
 「にいがた2km」の活性化の取り組みによる賑わいや、駅中の商業施設の完成などで新たな人の流れやまちの変化も生まれていくはずです。そうした変化を見据え、バス交通についても次の展開を考える必要があります。
 また主要路線だけでなく郊外においても、区バスや住民バスの継続的な取り組みに加え地域の特性も踏まえたデマンド交通などを柔軟に活用しながら、誰もが移動しやすい環境を整えていく必要があります。さらに今後の社会状況の変化や、自動運転などの新技術導入への動きにも着目しながら、持続可能な公共交通の実現を目指していきたいと考えています。

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