市長説明

最終更新日:2012年12月20日

 今年度の主な施策などについて、お話しさせていただく。
 まず、昨年の振り返りだが、昨年は大変な大震災、災害の年となってしまった。3.11の大震災、そして7月末、新潟・福島豪雨ということで、本当に厳しい水害状況だった。この教訓を生かして、今後、さらに安全なまちを皆様とともに作っていきたい。
 一方では、3.11で新潟が大変な救援拠点として機能したということで、新潟の持つ拠点性ということも一方で明らかになった。国の方でも日本海側、特に新潟の重要性を認識いただき、日本海軸を作っていく必要があるという大きな方向性が打ち出された。
 太平洋側被災地域には、本当に新潟が頑張ってくれたということで、仙台、あるいは福島県の市町村長から感謝をされているという状況だ。今も避難されている方は2,600人近いという状況で、市民の皆様が温かく向かい入れてくださっていることについても感謝したい。
 今年度の予算について。一般会計3,573億円と、前年度比0.6%減となっている。これは子ども手当の関係で少し減ったということだが、大体前年度並みというようにお考えいただきたい。全会計では1.8%増、ほぼ横ばいということだ。
 新潟の目指す都市像だが、安全という土台をより強固にしたい。また、市民主権の土台。この二つの土台の上に三つの都市像「助けあい政令市」、「日本海拠点都市」、「田園文化都市」を確かなものにしていきたい。また、それを雇用、公共交通、環境といったものを横串にして、「安心政令市にいがた」を作り上げていきたいと考えている。
 
 まず、安心・安全の土台の強化ということだが、一つは3.11の大震災の教訓を踏まえて、津波防災対策を前進させる。津波ハザードマップを整備し、地域防災計画を見直す。実践的な避難訓練を積み重ねていく。また、一方では、原子力防災も今までにない当事者意識を持ってやっていく必要があるので、とりあえず東京電力と通報連絡協定を締結した。さらに、新潟県内の30市町村が一緒になって勉強を重ね、より安全な対策、また東京電力柏崎刈羽原子力発電所にどう向かい合うのかということを考えていく時期も来るだろう。
 次に、雨対策だが、今回の新潟・福島豪雨において、田んぼダムが、刈谷田川などでかなり機能した。こういうものについて、我々もさらに前進させたい。雨水貯留施設、排水ポンプの整備を着実に進め、今回、もぐり橋が全国的にも有名になってしまったが、これは道路と治水という双方の観点から整備することで国とも協議している。
 そして、情報伝達が何よりも重要で、これを多重化していく。昨年9月には携帯のエリアメールを導入した。また、学校の耐震化は、今、85.3%というところまできた。これについては、平成27年度に耐震化を完了する予定で進めている。
 災害廃棄物、いわゆるがれきの広域受け入れについても、今、勉強をしながら研究しているという状況だ。被災地域は本当に大変な量のがれきで苦しんでいるので、我々も、安全・安心という面を確保しながら、放射性セシウム濃度が、いわゆるクリアランスレベルのものに限定するということで進めている。 当面は木質系チップに限定する。科学的データによる安全性の確認が何よりも大事なので、安心・安全の面で国に再確認をしたり、先行している自治体に実情を確認するというようなことをやり、それを基に説明会をやって、試験焼却ということで、さらに科学的データの裏づけを図っていきたい。
 ここからは、「助けあい政令市にいがた」について。日本一の福祉都市を作ろうということで、特別養護老人ホームについて4年間で1,000床、前倒しで整備する。これは着実に進めていく。今年度も三つの区で特養整備を前倒しする。さらに、地域包括支援センターは非常に重要な施設なので機能を強化する。訪問による実態把握、出張相談を開設する。ネットワークの構築ということでセンターになってもらう。 
 一方では、健康住まいリフォーム助成。新しくバリアフリー化を進める、あるいは子育て世帯、さらに親世帯と同居する近居、こういうものについてリフォームするときに助成する。
 また、健康と食育を大いに進めようと。我々は健幸(けんこう)都市づくり(スマートウェルネス・シティ)ということで、総合特区の指定をいただいた。今年度、健康とまちづくりを結びつける健幸都市を大きく前進させたい。そのために新潟シティマラソン、今回は30回記念大会になるが、1万人マラソンに間違いなくしてく。
 また、日本で初めての「食育・花育センター」も開館5か月で10万人を突破し、市民の食育・花育に対し関心が非常に高いということなので、今後も自信を持って進んでいく。
 子供医療費の助成についても、今年の9月から、入院は小学校卒業を中学校卒業まで拡充する。昨年から所得制限はなくなっている。
 新潟が政令指定都市の中で唯一待機児童ゼロを続けているが、これを何としても守り抜く。休日保育については8園から10園に増やす。大変ニーズが高まっている病児保育も一つ施設を増やす。さらに、食育・花育センターの脇に、アルパカと遊べて、家畜がどのように、我々の暮らしに役立っているのか実感できる「動物ふれあいファーム」を整備する。今年度内にプレオープン、来年度、本格的にオープンする予定。この隣には、「こども創造センター」も造る。まさに親子連れが半日、あるいは1日楽しんでいただくゾーンになる。

 日本海の拠点都市を作ろうということについて、新潟港のコンテナ取り扱い、昨年、一気に20万TEUという形になった。国の速報値と数字は若干違っているが、20万TEUの大台をさらに、今年、どれだけ上乗せできるかが勝負の年となる。一方で、右肩下がりが続いていた新潟空港については非常に厳しい状況が続いていたが、今年は、新規路線、成田線、そして名古屋線、さらに上海線は週2便から週4便、新潟-福岡線も増便になって1日3往復となった。札幌線も増便になる。こういう状況を踏まえて、今年は反転攻勢の年というように位置づけて、新規路線を定着させ、また新しい路線をさらに開発していきたいと考えている。
 もう一つ、ずっと安心に暮らせる新潟にするためには、過度なマイカー依存から脱却をする必要がある。どんどんお年寄りが増えて、車が運転できなくなるお年寄りも多くなるときに、公共交通、自転車で移動しやすく、快適に歩けるまちを作ろうということで、これを先ほどの健康都市づくり(スマートウェルネスシティ)に結びつけようと快適に歩けるまち条例のようなものを作っていく。
 もう一つは、バス、地域の生活交通をさらに見直していく。まずは、地域内の生活交通を強化する。区バスを見直し、住民バスへのさらなる支援が主なものになる。そして、都心アクセスについて強化する。特に南区は軌道系の公共交通がないという特性があり、まず今回、小型バスの専用ルートを明確化し、高速道に早く行って乗ってもらい、新潟駅まで定時性を持ってバス路線を運行する。また、もう一つは、越後線の昼間の増便をJR東日本から積極的、前向きに取り上げてもらい増便実験が始まった。大勢の方から利用いただき、実験から本格運行に結びつけていきたい。そうすれば、昼でも、大体40分に1本となり、今まで、1時間に1本という時間帯があったが、かなり前進している。さらに都心部には、新潟駅から白山駅の間、BRTの導入を目指す。これらをやることによって、鉄道と連携した全市的なバスシステムを構築する。今、バス路線が毎年縮小しているが、BRTができることを契機として、新潟交通に持続可能なバス路線の見直しを本格的にやっていただこうと考えている。
 国際コンベンション都市の姿もより明確にしたい。食と花の世界フォーラムについては、フードメッセが毎年開催できるようになってきたが、昨年の来場者は約6,000名。ほとんど商売の方で、この方たちをもっと増やして、新潟の食と花を売っていく。
 多様な雇用の場を作ること。今、全国が雇用で苦しんでいるが、新潟は医療、教育、子育て、介護といったライフインフラの拡充、充実によって雇用の拡充に結びつけ、安心と雇用がともに伸びるまちを目指していく。福祉施設を整備すれば、新たな雇用の場が発生し、また中小企業の支援、ビジネス支援センターを大変多くの企業が利用しているが、地元の企業に力をつけてもらおうという取組も強化していく。

 これからは、田園文化都市新潟について。今年は、水と土の芸術祭を、7月から12月末まで開催する。テーマは「転換点」。「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」ということがメインテーマだが、水と土、まさに3.11も、昨年の7月末の豪雨も水と土の大反乱という状況で、こういう水と土と我々はどう向かいあっていくべきかということを考える新たな大きな意味が加わったと考えている。そのために、三つの柱として考えた。特徴は、シンポジウム、講演・対談を入れる。水と土とどう向き合うかを考えることが、今回の大きな特徴だ。アート、市民プロジェクト、この三つの柱で二つの大河から生まれた新潟、この水と土の暮らし文化をどう充実させ、後世に伝えていくかを考える芸術祭にしていきたい。
 そういう中で、市民プロジェクトは大変大勢の方から提案をいただいた。松浜のアートフェスタ、あるいは秋葉区ではカッパと遊ぶというようなおもしろい提案も出ている。また、すでに福島とつながるという面では、芸術文化交流を内野でやった。ワークショップなどによる交流を今度、芸術祭になったら、さらに本格的に各地域でやっていきたい。
 ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日音楽祭は、3回目をやることができた。今回は7万7,000人が来場したが、これも新潟のゴールデンウィークには欠かせないイベントになってきたのではないか。
 もう一つの特徴はマンガ。新潟は多くのマンガ家を輩出している。このマンガ・アニメをアピールしていこうということで、万代地区に「マンガ・アニメ情報館」、古町地区には「マンガの家」を整備していく。「アニメ・マンガフェスティバル」は3万5,000人がまちをにぎやかにしてくれた。ただ、2月の季節があまりよくないので、今年度から時期を変えて開催したい。
 また、新潟市の最大の誘客施設であるマリンピア日本海をリニューアルするので、来年の夏には新しい魅力を備えたマリンピアがお目見えする。
 「がんばる農家支援事業」は、葉たばこの廃作への対策も含めて、しっかりと継続し、充実させていく。今年度は、農機具のリースでやらなくてもいいという部分を拡充して、大変大勢の方から、今、手が挙がっている状況だ。少し手が挙がりすぎているので、二度目の方は遠慮していただくかもしれないが、できるだけ多くのがんばる農家を支援していきたい。
 スマートエネルギーの推進ということで、省エネ、新しいエネルギーの普及を促進する。一つは、エネルギー関連産業を支援する。また、太陽光の発電設備を設けられる方には助成する。エコスクール化も推進する。商店街の街灯や、自治会の防犯等も、LEDに替えていただく場合は支援を厚くする。風力発電も、今年度は新潟市の責任でやっていくが、来年度以降、民間が設置しやすい形でやっていく。
 市民主権都市について。先ほどの三つの都市像を推進していくためには、地域コミュニティの力が欠かせないので、協議会の活動支援をさらに強化していく。今、97の組織から活動していただいているという状況だ。また、地域づくりの拠点を創出しようということで、まちづくりセンター全市展開に向けて動き出した。山の下、東区のまちづくりセンターだが、ここにもコミュニティ協議会の事務局に入ってもらい、会議なども開けるようなスペースができた。

 ここからは、新潟州構想について、お話しさせていただく。新潟州構想をなぜ提起したのかということだが、地域主権を1丁目1番地に掲げた民主党政権で進まなかった。地域主権基礎自治体を強化するという方向が進まないと、今度は道州制に名を借りた安易な府県合併が出てくることを危惧していた。効率化ありきで権限移譲を伴わない府県合併は、決定機関が住民から遠くなってしまう。今、新潟県庁で済むものが仙台に行かなければだめになったり、埼玉に行かなければだめになってしまうということでは、これは地域主権、分権に逆行する。これには、泉田知事、私は反対ということで、本格的な道州制のためには、基礎自治体をまず強化する必要がある。また、政令指定都市市長会は、府県から独立する特別自治市を求めてきたが、370万人の横浜市が本当に首長一人で、この都市の隅々まで目が行き届くかどうか。もう少し工夫しないと特別自治市というものは実現しないと思っている。そういう動きの中で、新潟州構想が目指す方向は、まずは県市が徹底連携するということで、地域を活性化させる。また、国、県、市町村の役割分担の明確化を新潟からやっていく。さらに、今、道州制議論が相当高まってきた。本格的な道州制に備えていくというためにも、新潟州というのが大きな役割を果たせるのではないかと考えている。
 新潟州構想では、四つの視点があるということで、構想検討委員会から確認をいただいた。一つは、拠点性の向上、そして、成長戦略を強化する、さらに住民に身近な施策、二重行政を排除して、住民にとっていいものにする。安心・安全についても、新潟市が有する高度な行政機能を県全体に波及させるべきだという4点で、まずやりなさいと検討委員会からご指摘をいただいた。この部分で、住民に身近な施策を大いにやるということで、例えば、公営住宅、文化施設、さらに国を巻き込んでハローワークを、国に新しいやり方を提案させていただいている。また、安心・安全という部分では、感染症対策、食品衛生、県と市の保健所があまり独立しすぎていると情報交換などがうまくいっていないという状況があり、改善したいと思っている。ハイパーレスキューは、東京都と政令市にのみ配置されているが、これで本当にいいのか。少し問題提起をしていきたいと思っている。まだ、拠点性の向上と成長戦略については、具体的に始まっていないので、今後、この分野が重要ということになる。
 そのために、今、こういう検討会議、調整会議を作っているわけだが、これをより強固にしていくということで、「(仮称)新潟州構想推進本部」を早ければ、来月にも立ち上げるため、今、準備を進めている。新潟州構想を着実に推進、また具体的なこういう課題をどんどん取り上げて、県民、市民にとってメリットが出る。そういう取組をやった上で、制度的な課題も深く掘り下げて検討する。

 いよいよ新潟州構想も、検討から実践に入っていく。政令市移行後、丸5年がたち、今年は政令市移行の評価・検証をやりながら、新潟市にふさわしい大都市制度を大いに検討して、どうすれば県民・市民にさらにメリットが出せるかということを研究し、また実践していきたいと考えいる。
 今年は、政令指定都市になって6年目なので、この5年間の、検証・総括をしっかりとやる必要があるが、これはあくまでも未来志向、前につながる形の検証総括にしたいと考えている。そういう面で、皆様から、いろいろなご意見、感想をいただきながら、新潟市がどうすれば81万新潟市、また東アジアにひらかれていく新潟市という特徴を、それにふさわしい大都市制度を作り上げることができるのかということを検討し、おそらく年内には、またさまざまな方向を提示する。

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