重要文化財 旧笹川家住宅の概要
最終更新日:2020年1月24日
旧笹川家住宅
この住宅の所有者であった笹川家は、安土桃山時代に信濃国水内郡笹川村から、この味方の地に移住したと伝わり、昭和45年(1970)にこの地を離れるまで、14代300年以上にわたって続いた名家です。江戸時代には、村上藩の支配下にあった味方組8ヵ村(味方、白根、板井、木場、黒鳥、北場、亀貝、小新 合計約8,000石)を束ねる大庄屋を代々務め、年貢収納の取りまとめや藩からの命令伝達はもちろん、藩から与えられた警察・裁判権をも行使していました。笹川家は、河川改修や用排水路の開削にも尽力し、水害の多かったこの地域での新田開発に貢献してきました。
笹川家の敷地は、東側正面が中ノ口川、西側裏面が味方江に面し、近郷における用排水と水運の要地にあります。敷地の広さは、周囲の堀を含めて約6,000坪(20,000平方メートル)で、中央に約340坪(1,122平方メートル)の住宅が建っています。敷地の上流側に庭園を築き、下流側には、米蔵や土蔵などの付属屋を配置しています。
現在の主屋は、文政2年(1819)6月8日に全焼した主屋に代えて、文政9年(1826)までに7年の歳月をかけて再建したものです。棟梁は村松町(現五泉市)の小黒杢右衛門です。なお、表門は火災をまぬがれ、天正年間(1573~1591)と推定される建築当時の姿をとどめています。昭和24年(1949)に表門、表座敷及び台所、居室部、奥土蔵、雑蔵、文庫が国の重要美術品に認定されました。そして、昭和25年(1950)に文化財保護法が制定されると、昭和29年(1954)に改めて重要文化財に指定されました。昭和45年(1970)9月に公有化され、その年から一般に公開されています。
重要文化財に指定された物件の一覧
旧笹川家住宅 11棟
表座敷及び台所 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
主屋のうち、大庄屋の役宅・迎賓の場として使用されていた部分です。文政9年に上棟したことが棟札から分かります。
構造及び形式
- 桁行34.3メートル、梁間17.6メートル、寄棟造、東面式台、東西南北庇付、西面南端便所附属、銅板葺
附指定
棟札 5枚
- 昭和29年3月20日指定
上棟文政九年丙戌七月十二日壬辰吉祥の記があるもの 1
文政九丙戌年七月大吉日の記及び棟梁その他人名の記があるもの 2 - 平成3年5月31日指定
文政九丙戌年七月吉日の記があるもの 1
棟牘文政九丙戌年七月吉辰の記があるもの 1
居室部 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
主屋のうち、笹川家の居住空間として使用されていた部分です。文政4年に上棟したことが棟札から分かります。また西側の二階建部分は、大正元(1912)年に増築されたものです。
構造及び形式
- 桁行26.5メートル、梁間13.0メートル、寄棟造、東西南各面庇付、南面突出部及び北面炊事場附属、銅板葺、表座敷及び台所間取合を含む
- 寝室中門 桁行14.6メートル、梁間7.4メートル、二階建、南面入母屋造、北面切妻造、東南各面庇付、銅板及び桟瓦葺、東面仏間附属
附指定
棟札 3枚
- 平成3年5月31日指定
上棟文政四辛巳九月十日吉祥及び棟梁その他人名の記があるもの(棟札の記がある箱入) 2
文政四巳年九月十四日棟上の記があるもの 1
表門 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
茅葺きの長屋門です。北側には番屋があります。
構造及び形式
- 長屋門、桁行6.7メートル、梁間3.4メートル、切妻造、茅葺
附指定
塀 2棟
- 昭和29年3月20日指定
南方屋根塀、長7.3メートル、桟瓦葺 北方屋根塀、長11.5メートル、桟瓦葺
文庫 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
江戸後期に建てられた土蔵です。文書等が収納されていました。
構造及び形式
- 土蔵造、桁行7.0メートル、梁間3.8メートル、二階建、切妻造、桟瓦葺
雑蔵 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
江戸後期に建てられた土蔵です。
構造及び形式
- 桁行14.5メートル、梁間5.5メートル、切妻造、桟瓦葺
奥土蔵 1棟 (指定年月日 昭和29年3月20日)
主屋の奥にある土蔵です。寝具等の保管に使用されていました。
構造及び形式
- 土蔵造、桁行10.1メートル、梁間5.4メートル、二階建、切妻造、桟瓦葺、北及び東面庇附属、居室部間渡廊下を含む
米蔵 1棟 (指定年月日 昭和53年5月31日)
慶応3年に建てられた土蔵です。藩に納めるための年貢米を保管していました。
構造及び形式
- 土蔵造、桁行21.8メートル、梁間6.4メートル、切妻造、桟瓦葺、南面庇附属
附指定
棟札 1枚
- 平成3年5月31日指定
建立慶応三丁卯歳八月十四日の記がある
飯米蔵 1棟 (指定年月日 昭和53年5月31日)
江戸末期に建てられた土蔵です。笹川家で食用とするための米が収納されていました。
構造及び形式
- 土蔵造、桁行6.4メートル、梁間4.5メートル、切妻造、桟瓦葺、南面庇附属
三戸前口土蔵 1棟 (指定年月日 昭和53年5月31日)
文政3年に建てられた土蔵です。入口が三つあり、内部は東倉・中倉・西倉に分かれています。家財等の収納に使用されていました。
構造及び形式
- 土蔵造、桁行19.6メートル、梁間6.2メートル、二階建、切妻造段違、桟瓦葺、北面庇附属、奥土蔵間渡廊下を含む
附指定
棟札 1枚
- 平成3年5月31日指定
文政三年庚辰正月穀旦の記がある
井戸小屋 1棟 (指定年月日 昭和53年5月31日)
明治期に建てられたものです。
構造及び形式
- 桁行4.1メートル、梁間2.7メートル、切妻造、桟瓦葺
外便所 1棟 (指定年月日 昭和53年5月31日)
明治期に建てられたものです。
構造及び形式
- 桁行17.5メートル、梁間1.9メートル、片流れ、桟瓦葺
(土地指定)
- 指定年月日 昭和53年5月31日
- 宅地及び墳墓地、14252.24平方メートル
- 地番 新潟市味方216番1、同4、同5
- 周囲の堀・土塁・板塀・裏門・庭塀を含む